会社員が副業する時の4つの注意点
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政府による働き方改革の一環として副業の解禁が奨励されたことにより、副業への関心が高まっています。
収入減が増えることは魅力的ですが、手続きの不備などにより本業になんらかの悪影響を与えてしまう、といった事態は避けたいもの。
そこで今回は、会社員が副業を始める際に注意すべき点について解説していきます。
副業開始の前に、必ず会社の「就業規則」を確認する!
会社に勤めている人が副業を始める際には、まず会社の就業規則を確認しましょう。
「就業規則なんて見たことがない・・・」という人もいるかもしれませんが、その場合には直接人事部などに確認を。
会社が禁止しているにも関わらずこっそり副業をおこなった場合、会社との信頼関係にひびが入る可能性があるだけでなく、減給や降格、最悪の場合は解雇も覚悟しておくべきかもしれません。
ただし最近では、「憲法が職業選択の自由をうたっているのに会社が一方的に副業を禁止することはナンセンスだ」というような認識も広まりつつあります。
実際、就業時間外の過ごし方まで制約されるべきではないのですが、たとえ業務終了後の副業でも、本業の職務の生産性に影響したり、競業に該当するような仕事については、その限りではないといったように判断が難しいところでもあります。
勤めている会社が副業NGであっても、本業に支障をきたさないということを説明し、副業の許可を得られるよう交渉する余地はあると思います。
繰り返しになりますが、会社に伏せて副業をおこなうのは、トラブルにつながる可能性があるのでやめた方が無難です。
ちなみに公務員については、国家公務員法や地方公務員法で副業が制限されているのでご注意ください。
就業規則でOKでもここには注意!
就業規則上、副業が認められていても気をつけるべき点があります。
副業をおこなうことで、本業に悪い影響がないかということです。
具体的には
- 会社の信用問題に関わるような副業
- 競業での副業
- 本業の生産性を下げる可能性がある副業
です。
法律に違反するような業種での仕事や、一般的にその会社の信頼や評判を落とすと考えられるような副業は避けましょう。
また、競業での副業については、ノウハウや情報が漏えいする可能性があり、本業の会社から損害賠償を求められるリスクがあります。
また、副業で体力を使い果たし、本業の生産性が今までよりも目に見えて低下した、といったような状況も望ましくありません。
年間20万円を超えたら確定申告が必要になることも
日本では「累進課税」方式が採用されているため、副業により所得が増えるとその分納める所得税も多くなります。
では、確定申告が必要になる基準の報酬はいくらなのでしょうか。
副業で確定申告が必要になるのは、1月1日から12月31日の期間内の副業のみの所得が20万円を超えた「年末調整をおこなっている会社員」です。
1年間の副業所得が20万円を超えているのに何もしないと、「知らなかった」では済まされず、脱税になってしまいますので注意が必要です。
ちなみに、下記表のように副業の内容によって所得の名称が異なります。
下記の例ではいずれも所得20万円以上で確定申告が必要ですが、雑所得と事業所得については、たとえば収入が50万円でも経費で35万円かかっていれば所得は15万円となり確定申告が不要になることを覚えておきましょう。
所得の名称 | 例 | 備考 |
給与所得 | アルバイトやパート | 本業の給与所得とあわせて税金の計算をする。副業先の会社の源泉徴収票は、メインではなくサブ(従たる給与)である「乙欄」で処理する |
雑所得 | アフィリエイトブログ、メルカリ売上 | ネットを介しての副業収入は雑所得になることがほとんどだが、継続的な収入が見込める場合は事業所得にとなるのが一般的。事業所得と同様に、収入を得るためにかかった経費分を引くことができる |
事業所得 | クラウドソーシング、ハンドメイド、起業 | 継続的な副業の場合は雑所得ではなく事業所得を選択し、税制面で優遇を受けることが可能 |
不動産所得 | 10室未満のアパートなどの経営 | 10室以上であれば、不動産所得ではなく事業所得になる |
確定申告が不要でも住民税は発生する
副業で得た収入が20万円以下だった場合、所得税については確定申告がする必要がないことは先ほど述べたとおりですが、税金に関する手続きがまったく不要というわけではありません。
副業の収入の額に関係なく、住民税は別途申告が必要です。
会社に内緒で副業をしている場合、「確定申告のときに会社にばれる」と聞いたことがある人もいるかもしれませんが、実際は確定申告ではなく、住民税の納付書発行のタイミングでばれることが多いです。
本業の会社は、従業員の住民税の納付を給与天引きでおこなう義務があるため、そのときにほかの同じような給与水準の従業員と比べて住民税が高すぎる、といったケースで副業が疑われるというわけです。
まとめ
今回は、会社員が副業を始めるときの注意点についてご紹介しました。
この記事のポイントは
会社の就業規則で副業が認められているか確認する
- 会社の信頼や評判を落とすようなもの、競業、本業のパフォーマンスを下げてしまうような副業は避ける
- 副業の年間の所得が20万円以上の場合は確定申告が必要
- 確定申告不要でも、住民税の申告納付は発生する
です。
本業の仕事と副業を円滑に両立するために、事前の就業規則の確認や、確定申告や住民税の要不要の理解は、必ずしておくことをおすすめします。